たった1音が空間を満たすライアーと向き合う時間がくれるもの

2025年06月20日 00:22
カテゴリ: レッスン日記

最近、ライアーという楽器を弾く時間が、私の中でとても大切になっています。
ピアノとは違って、1音1音をそっと奏でるたびに、その音が空間を満たしていく。
ふわっとした振動が空気を包み込んで、やさしく自分の内側に響いてくるような感覚があります。


「音って、こうやって聴くんだ」と、改めて気づかされる時間。
音が鳴ってから、消えていくまでの“行方”に耳を澄ませていると、
自分の耳がどんどん研ぎ澄まされていくのを感じます。
まるで、心の奥の感覚が目を覚ますような、そんな不思議な体験です。
 
 
そして、指先の感覚にも意識が向いていきます。
どの角度で弦に触れるのか、どのくらいの力で弾くのか、どんな速さで触れるのか。
弾く面積の違い、向き、触れる速さ・・・
そんな繊細な変化に、音がとても正直に応えてくれるのがライアーです。

たった1音。でも、されど1音。
そんなふうに向き合ってみると、体がふわっと喜んでいる感じがするんです。
呼吸が整って、心がすぅっと静かになるような感覚。
 
 
【ライアーは、シュタイナー教育の楽器。そしてモンテッソーリ教育との共通点も感じています】

 
このライアーという楽器は、1920年代にシュタイナー教育のために開発されました。
「心に響く音で、子どもたちの内面を育てたい」という想いから、
やさしく繊細な音色が求められて生まれています。
また、わが家の上2人はモンテッソーリ教育で育ててきました。
手仕事の作品をまだ保存してあります♡
「感覚を育てることが、生きる力につながる」
そんな考え方に共感して選んだ教育方法です。
 
モンテッソーリ教育もシュタイナー教育も、
五感を通した体験をとても大切にしています。
ライアーの微細な音の違いに耳を澄まし、
指先の触れ方を工夫しながら弾く体験は、
まさにモンテッソーリ教育で育まれる「感覚教育」の延長線上にあると感じています。


【ピアノの音にも変化が】

 
このライアーとの時間を重ねるうちに、ピアノを弾く耳や感覚にも、ちょっとした変化を感じています。ピアノの響きにも、より深く耳を澄ませたくなる。
音が重なり合う瞬間に、前よりも丁寧に向き合えるようになってきました。
楽器は違っても、「音を聴くこと」は、やっぱり全部つながっているんですね。
 
 
【そんな音の体験を、大切にできる教室でありたい】

 
私のピアノ教室では、「ただ弾けるようになる」ことだけを目指すのではなく、
音と向き合う時間そのものを大切にしています。
ピアノを通して、音と遊び、音とつながり、
「自分らしく輝ける」時間を、ひとりひとりが見つけていけるように。
そんな場所でありたいと、いつも願っています。
   

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