
発表会が終わった次の日。
教室は、またいつものレッスン日でした。
冬休みが近づいていることもあって、
気持ちは少し先に向かっているけれど、
教室の中には、まだ発表会の余韻が静かに残っていました。
「楽しかったね」
「ちょっと緊張したけど…」
そんな言葉を交わしながら、
音を出してみると、不思議とあの時間がよみがえってくる。
高揚や達成感は、一日で消えてしまうものではなく、
こうして日常の中に、少しずつ溶け込んでいくものなのだと感じます。
発表会は、ただ“発表する場”ではありません。
その場で音楽が生まれ、育っていく時間。
音楽を「つくる」場だと考えています。
ステージに立つ生徒さんは、もちろん作り手。
そして、客席で耳を傾けてくださる保護者の方も、
その時間を一緒につくっている大切な作り手です。
子どもが作り手として、その場に参加できるように、
そっと見守り、支え、寄り添うこと。
それもまた、音楽をつくる一つの形だと思っています。
初めて発表会に足を運ばれた方は、
少し戸惑うこともあるかもしれません。
でもそれは、とても自然なこと。
大人でも戸惑う場面があるのですから、
子どもにだけ「わかっていて当然」ということは、きっとありません。
「何が気になるのかな」
「どこを見ているのかな」
そんなふうに、子どもの視線や心の動きに
ほんの少し意識を向けてみると、
そこには、言葉にしにくいけれど、
大人自身にも覚えのある感情が見つかることがあります。
その感情を一緒に感じながら、
同じ空間に身を置き、同じ音楽を共有すること。
発表会は、誰かが完成させるものではなく、
その場にいる一人ひとりが関わりながら、
静かに育っていく時間なのだと思います。
だから、発表会の翌日も、
いつも通りピアノに向かいます。
あの時間の続きを、大切に抱えながら。