
発表会の選曲をしています。
「新しい曲と出会えるのが楽しみ!」
そんなふうに次々と弾いてみたい曲が
見つかる子もいれば、
「新しい曲……ちょっと不安」
と感じる子もいます。
今日は後者のタイプの生徒とのレッスンでした。
発表会の曲を決める前にまず話したのは、
「どんな発表会にしたい?」
ということ。
すると出てきた言葉は、
「失敗したくない」
でした。
うん。
そうだよね。
せっかくの発表会。
できるだけ失敗したくない。
安心して弾きたい。
その気持ちはとてもよくわかります。
だからこそ少し言葉を変えてみました。
「失敗したくないって思いながら練習するとね、
『失敗したくない』っていう気持ちが
どんどん大きくなっちゃうことがあるよ。」
日本語って少しおもしろいところがあります。
「失敗」はマイナスの言葉。
そこに「したくない」という
もう一つのマイナスの言葉が重なります。
一生懸命頑張っているのに、
言葉の中にある二つのマイナスに
押されてしまうことがあるんですね。
だから、
「大丈夫!私はできる!」
って、自分を励ましてあげよう。
「失敗したくない」っていうことは、
本当は、
「成功したい」
ということだから。
だったら、
「私は成功する」
って思って練習してみよう。
そんな話をしました。
そして、もう一つ。
この生徒は発表会の曲を決めるときも、
「弾いてみた中から選びたい」
という気持ちを持っていました。
安心して弾ける曲を選びたい。
その気持ちもよくわかります。
だから、急いで決めません。
「この曲にしよう!」と
先に決めるのではなく、
実際に弾いてみて、
「これならできそう」
「この曲、ちょっと好きかも」
そんな気持ちが生まれるところを
一緒に探していきます。
そして、この生徒が
もう一つ伝えてくれたこと。
発表会の曲だけではなく、
普段のテキストも進めながら練習したい。
そのためには発表会の曲の練習が
多くなりすぎないほうがいい。
そんな、素直な気持ちでした。
そうだよね。
発表会だけがピアノではないものね。
普段の曲も進めながら、
少しずつ発表会の曲にも自信をつけていく。
小さく、小さく、ステップを重ねていく。
私はそんな進み方を大切にしています。
みんな同じ時期だから、
みんな同じように曲を決めて、
みんな同じように練習して……
そんな「金太郎飴」のような進め方ではなく、
その子が今、どこにいるのか。
何なら安心して一歩進めるのか。
どんなことなら「やってみようかな」と思えるのか。
そこを見ながら、一緒に進んでいきたい。
発表会のステージに立つまでには、
きっといくつもの「できた!」があります。
その一つ一つを積み重ねて、
「大丈夫。私はできる。」
そう思えるところまで。
先生も一緒に歩いていきます。
発表会の曲選びも、
子どもたちにとっては
音楽を学ぶ大切な時間。
新しい曲との出会いを、
その子らしいペースで
楽しんでいけたらと思っています。
発表会に向けて頑張ることも、
普段のテキストを一歩ずつ進めることも。
どちらもその子の
「これからの音楽」につながっています。