
「難しくて弾けない……。もうやめる!!」
お家でそんなふうに泣いてしまった生徒さん。
ママからご連絡をいただきました。
前回のレッスンで一緒に練習したところ。
今回は、
「ちょっと頑張る週だよ」
そう伝えると
彼女は小さくこっくりとうなづきました。
前回取り組んだリズム打ちは
完璧に自分のものにしてきています。
できるようになったことを
しっかり確認しながら
今度は少し先のことにも
挑戦してみる。
ピアノのレッスンでは
いつも「できること」ばかりを
するわけではありません。
できた!をたくさん
重ねる時期もあれば
少し背伸びをして
「できない」「わからない」と
向き合う時期もあります。
その子の様子を見ながら
今はどちらが必要なのかを
考えています。
今回はもう一歩進んでみる週。
目には
少し不安そうな色がありました。
「できない」
「わからない」
そんなところから
自分で取り組んでみる。
わからないことを練習するって、
実はとても苦しいことです。
何度やっても思うようにいかない。
できる気がしない。
もうやりたくない。
そんな気持ちになることもあります。
だから今回は
「弾けるようになること」だけを
目標にはしませんでした。
できない気持ちから逃げずに、
うまくいかない時間も経験してみる。
ママには、
「連れてきてください。
一人じゃ、苦しいもの。
レッスンで一緒に練習するから大丈夫です」
とお伝えしました。
そして彼女は来ました。
それだけで
「よく来たね」と思いました。
レッスンでは
前回のように一緒に練習。
そしてレッスンノートには、
「うまくいかなかった」
「右手が難しかった」
そんなふうに
思ったことを書けばいいのよと
伝えました。
良いとか悪いとかではなくて
先生は、あなたがどう思ったのかを
知りたいのだからと。
そう伝えると
少し安心したような表情になりました。
一緒に練習しているうちに
少しずつ音が馴染んでいきます。
形になっていきます。
「できない」も、
「苦しい」も、
「できた!」も、
「うれしい!」も。
ひとつひとつ
レッスンの中で重ねていけばいい。
レッスン後、ママから
「行ってよかったって言ってます」
とご連絡をいただきました。
よかった。そして
もうひとつ嬉しかったこと。
反抗期にも入りつつある生徒さん。
ママも、きっと毎日
いろいろな場面で向き合っていらっしゃいます。
「いつもすみません」と
思われることもあるかもしれません。
でも、そんなことないのです。
帰り際には、さっと
「ありがとうございました」
と言える子です。
私はそこにちゃんとその子の
成長を感じています。
ピアノが弾けることだけが
子どもの成長ではないから。
うまくいかない日があっても、
誰かと一緒にもう一度やってみる。
そして人に「ありがとう」を伝えられる。
そんなところも
大切に育っているんだなと思います。
今日は弾けなかった。
でも、レッスンには来た。
それも、ちゃんと一歩。
小学生のピアノは、
ずっと順調に進むわけではありません。
できることを重ねる時期も
少し頑張ってみる時期もある。
その時々のお子さんの様子を見ながら
一緒に歩いていける教室で
ありたいと思っています。